前回の記事では、モノの取り出しやすさを目標にしたキッチンの収納が、実は理想的ではなかったという実例をご紹介しました。
「いつでもモノをサッと取り出せるように」と外に出している調味料や調理道具が、常に水と油でうっすらと汚れた状態になってしまう…という悲しい結末を辿ることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
それでは、キッチンを片づけるときは、どんなキッチンを目指したらいいのでしょうか?
この記事では、飲食店の厨房にこんまりこと近藤麻理恵が潜入して発見した、キッチン収納の極意をご紹介します。
飲食店のキッチンをこんまりが観察すると…
「サッと取り出せる」というキーワードはどこからきているのか考えてみると、ほとんどの方が、レストランやカフェなどの厨房でシェフが料理をしている様子を思い描いているようでした。
そこでその秘密を探るべく、ある飲食店のキッチンにこんまりが潜入し観察をさせてもらったときのことをお話しいたします。
プロはどんな裏技を使っているのだろう?と大きな期待を胸に潜入したこんまりですが、期待は大きく裏切られ、裏技どころか特別な収納法などひとつも見当たらなかったのです。
厨房には、定番のキッチン用品が、カテゴリー別にキレイに分類されているだけでした。
ガッカリした気分で調理台の前にしゃがみこみ、料理人さんの動きを何の気なしに見ていると、ある大事なことに気がつきました。
料理人さんの動きに注目していると「サッと」動く瞬間が確かにあるのですが、それは、調理器具を取り出すときよりも、むしろ調理台や水回りをキレイに拭くときだったのです。
キッチンの片づけとは水と油を片づけること
思わぬ発見をしたこんまりは、料理長に厨房の片づけの極意をたずねてみたところ、「厨房の片づけと言ったら、水と油を片づけることだよ」とひとこと。
それから、いくつもの飲食店のキッチンを視察させてもらったのですが結果は同じ。
キッチンの使いやすさとは、収納法ではなく、掃除のしやすさだったのです。
そのことに気づいてから、取り出しやすさは一旦無視して、調理器具も、洗剤も、調味料も出来る限り収納におさめることにしました。
「収納から取り出すのが面倒になるのでは?」と不安になるかもしれませんが大丈夫!
これまで片づけのレッスンを受けてくれたお客様たちも、「そういえば、取り出しにくいとストレスに感じたことは一度もないですね。それどころか、いつもピカピカのキッチンがうれしくて、つい掃除がしたくなっちゃうんです!」と笑顔で答えてくれる方ばかりだからです。
不思議なことに、いつもピカピカのキッチンにいると、棚の中のモノを取り出すストレスなんてまったく気にならなくなります。
キッチン周りには何も置かない
楽しく料理ができるキッチンで、まず目指すべきなのは掃除のしやすさ。
掃除がしやすくなるためには、基本的には水まわりとコンロにはモノを置かないこと。
信じられないかもしれませんが、こんまり®︎メソッドの片づけレッスンでは、洗剤やスポンジですら、収納に収めてしまいます。
シンク下かシンク下の収納扉の裏に洗剤やスポンジ専用の収納場所をつくり、「洗剤やスポンジの定位置を水回りにしないように」とお伝えしています。
ぬめったり汚れがち生ごみ用のゴミ箱も、シンクには置きません。
その代わりに、冷凍庫の一角に生ゴミコーナーをつくって凍らせてしまうのです。
よく水気を切って、果物の皮や鶏肉の骨などの生ゴミをポイポイといれてしまいます。
あとは燃えるゴミの日に冷凍庫から取り出してゴミ出しすればオーケー。
「生ゴミを食品と一緒に冷凍庫に入れる」と聞くと抵抗があるかもしれませんが、腐る前に凍らせるので、食品の一部と変わりがないのです。
紙製の袋を使ったり、プラスチック製の箱などで見た目がわるくならないように工夫するのもおススメです。
「何も置かない」キッチンは、いつでもさっと掃除ができて、とっても快適。
毎日の料理も楽しくなること、間違いありません。