片づけを進めていくと、自分にとって心地よい持ちモノの量に気づく瞬間が訪れる、とこんまりさんは言います。
これが「適正量のカチッとポイント」。
ときめくモノだけを選んでいった結果、「あ、私はこれだけ持っていれば満たされるんだな」と納得してしまう瞬間のことです。
でも、この「カチッとポイント」がなかなか来ない、とご相談をいただくことがあります。
そんな時は、収納を見れば、たいていその中に原因が見つかります。
今回の記事では、「カチッとくる」引き出し収納を作るための2つのコツと、やってしまいがちな失敗を
近藤麻理恵著・『人生がときめく片づけの魔法2 改訂版』より抜粋してご紹介します。
「カチッとこない」ときは、引き出しの詰め方をチェック
「モノはかなり減らしたんですが、イマイチ『カチッとこない』んですよね。もっと減らしたほうがいいんでしょうか。」
これは、こんまりさんのお客様、Kさんからのご相談。
そこでこんまりさんがタンスの引き出しを開けると、その原因が見つかりました。
引き出しにたたんだ洋服が立てて正しく収納してあるのですが、その横は5着分ほど、ポッカリと空いています。
次の引き出しを開けると、ここも半分ガラガラ。
そう、すべての収納がスカスカすぎるのです。
「けっこうモノを減らしたので、これから買い足していくかもしれない分のために空けてあるんです」とお客様。
じつはここにワナが潜んでいます。
収納の基本は「九割収納」。
つまり、いったんときめきで選んだら、引き出しや仕切りの中には余計なすき間を空けずに、ギチギチにならない程度に詰めていくのが正解です。
すき間ができれば埋めたくなるのが人の性(さが)。
「七割収納」や「ゆとり収納」を目指してしまうと、適正量のカチッとポイントどころか、知らず知らずのうちにときめかないモノが増えていきがち。
「やっぱりもう一つ、収納グッズを買い足したほうがいいかしら」なんて、元の状態に戻ってしまう事態になりかねません。
こんなときは、ほどよくぴったりと詰め直してみるだけで、たちまちカチッとポイントがきてしまうこともあるのです。
Kさんの場合も、引き出しの中のお洋服をどんどん移動して詰めていき、空いたスペースに文房具や趣味の道具を立てて収納していったところ、床に置かれていたクリアケース二段分がまるまる不要に。
メインのクロゼットの中にすべてのモノが収まってしまいました。
収納のコツは「お弁当」に学ぶ
収納をつくるときに思い出したいのが「お弁当」。
お弁当には、日本人独特の収納美学が詰まっている、とこんまりさんは言います。
お弁当のキーワードは「味別に」「見た目よく」「ぴったりと」。
この「味別に」を「素材別に」と言い換えれば、引き出しの収納もお弁当の箱詰めも、まったく同じなのです。
収納はお弁当のように、「素材別に」「見た目よく」「ぴったりと」
このキーワードを思い出しながら、楽しく収納を詰めてみてください。
収納の仕切りすぎは失敗のもと
引き出しの収納でやってしまいがちな失敗のもう一つは、仕切りすぎ。
たとえば引き出しの中でコットン系の洋服とウール系の洋服の場所を分けて入れるのはオーケーですが、箱や仕切りでさらなる区分けをする必要はありません。
布っぽいモノを収納する時に意識したいのは「ほどよくピタリ」
布モノはもともと植物からできていて生き物に近いので、呼吸ができる距離感と同時に、離れすぎないぬくもり感が大事なのです。
おたがいが手をつないでいるような、ほっぺとほっぺがくっついているようなイメージで収納してあげると、ホッとするような安心感が湧いてきます。
靴下やショーツを蚕のように、専用の収納用具を使って一つずつマス目で分けて収納するのも、おすすめしません。
おうち全体に有り余るほど収納スペースがある場合は別ですが、余計なすき間が空いてしまうため収納の効率が悪くなりがち。
何よりも布っぽいモノは、バラバラにほぐされてつねに間に空気が通っている状態だと、なんとなく生地が固く冷えた感じになってくるとこんまりさんは言います。
ギチギチに詰めすぎても取り出しにくく、モノが呼吸できなくなってしまうので、「ほどよくピタリ」「九割収納」のキーワードを忘れずに。
ただし例外としては、化学繊維系の薄くてテロテロした素材のモノは、たたんだ状態がゆるみやすいので、いったん小さな箱に入れて仕切ることも。
また、ベルトのように素材が布ではない小物類も、仕切る方が見栄えよく収納できる場合があります。
迷ったらこれを確認。良い収納のポイント2つ
最終的に、押さえておくポイントは二つ。
パッとみてどこに何が入っているかわかりやすいか。
そして、モノが心地よい状態になっているか。
両方ともイエスならば、その収納は大成功です。
(参考書籍:近藤麻理恵著『人生がときめく片づけの魔法2 改訂版』)