連載企画:「片づけで人生が変わる」を解き明かす① 〜欲しかった宝物はずっと目の前にあった(外山奈穂さん)〜

今回新しい企画として、“こんまり®︎流の片づけを通して、本当に大切なモノと出会えた” と語る人々を取材する連載企画をスタートさせました。
この「連載:“片づけで人生が変わる”を解き明かす」では、一人ひとりのエピソードを通して、こんまり®︎メソッドの本質的な価値を紐解いていきます。


今回インタビューさせていただいたのは、こんまり®流 片づけコンサルタントとして活躍する外山奈穂さんです。
お話いただくエピソードは、外山さんがこんまり®メソッドに出会ったばかりの頃のお話。
2017年5月に片づけを開始し、同年7月にすべてのプロセスが完了しました。

そもそも、どういったきっかけで片づけに取り組もうと思ったのでしょうか。

外山さん

私は小さな頃から部屋の整理整頓が得意な、自他共に認める “片づけ上手” な人でした。それが自分の家庭を持ったら、うまくいかなくなってしまって。「母親なんだからしっかりしなきゃ。妻として完璧にしなければ……。」いつしかそう考えるようになり、好きだった片づけも苦痛になっていました。

そうして考え至ったのが、「これは自分ではなくて家族の問題だ」という発想です。自分が片づけを学び、夫や子どもに体系立てて教えればいいんだという暴論に達して(苦笑)。まずは私がこんまり®︎メソッドを習い、実践したというわけです。

実際に2ヶ月に及ぶ「片づけ祭り」で見事に家の中は片づき、現在でもリバウンドもなく、きれいな家で日々を過ごされているそう。
ただしそれは表面的な出来事でしかなく、実際はそれ以上の変化が外山さんの中であったのだと話してくれました。


インタビューの中で、特に印象的だったのは次の3点。

1つめは片づけを通してモノに紐づく記憶や思い出が整理され、次の自分に向かおうと思えたこと。
思い出すのもつらかった過去と再び出会い、向き合い、受け入れることができたのだといいます。

2つめは、自己表現のために買い続けた服を手放したということ。
就職先にアパレルの有名ブランドを選ぶほどファッションが大好きだった外山さんにとって、それは大きな決断だったに違いありません。
実際に片づけの過程でお別れを告げた服の中には、外山さんのアイデンティティを支えた、かなり高価なものも含まれていました。

そしてもっとも興味深いと感じたのが、ただ片づけるだけに終わらず、表現の1つとして和室のDIYにも取り組んだというエピソード。
家族で和室の改装をする中で、自分でも信じられないような価値観の変化があったのだと話してくれました。

外山さん

夫は私の意思を何より尊重してくれる人で、「奈穂ちゃんが良いと思うことなら何でもOKだよ」と言ってくれます。それもあって、私のやりたいようにすることが家庭円満の秘訣みたいになっていたんです。だけど和室のDIYをするタイミングで、それはなんか違うなと思い始めて……。

そこで一緒に部屋の改装に取り組んだら、意外にも夫がすごく張り切ってくれた。「私だけじゃなく夫も家のことが好きなんだ」と思えたら、自然と対話の機会が今まで以上に増えたんです。私が妻として完璧に何でもこなすのではなく、家族みんなで話し合いながら一緒に心地よい暮らしを作っていけばいいんだって、初めて思えたんですよね。

片づけという行為を通して、外山さんが体験したこんまり®︎メソッドの「本質的な価値」とは何だったのか。
私たちは改めてインタビューを振り返ってみることにしました。

目次

私にとって家庭は「完璧」が当たり前の世界だった

──外山さんは最初、家が片づいていない状態に対して「妻として母としてちゃんとしなければ」という気持ちがあったそうですね。どうしてでしょうか?

今思い返すと、私の母が家事を完璧にこなしていたので、その影響を受けていたのかもしれません。家の中はいつも片づいていることが私にとっての「当たり前」でした。

加えて、私自身も小さな頃から整理収納が得意で好きだったので、結婚して子どもができた途端に「できていたことが、できなくなった」ことに不満を感じていたのだと思います。

──それで、自分だけじゃなく家族みんなが片づけを覚えれば、きっと家の中が整うだろうと思ったわけですね。

本当に湾曲した持論でした(苦笑)。
それで以前『人生がときめく片づけの魔法 改訂版』を読んだ時に「このメソッドはすごい!」と感じたことを思い出して、これを勉強しようと思ったんです。ただ、その時も自分としては葛藤が大きくて。

──葛藤ですか?

近所で開催されていたこんまり®︎メソッドのワークショップにまずは参加しようと思ったのですが、参加料の3,500円を払うことにすごく罪悪感があったんです。

「自分のためにお金を使ったらダメだ、そんなお金があったら家族のためにスーパーで買い物をしないと!」 って。誰かにそう言われたわけじゃないのに、勝手に思い込んでいて。

──でもそれが、外山さんにとっての理想の母親像だったわけですね。

小学生時代の私は優等生タイプだったので、それも関係あるかもしれません。
器用貧乏で何でもソツなくこなせるし、先生からも頼られていたので、どの分野でも平均点以上を取れる自信があったんだと思います。

それなのに、得意だったはずの片づけもできなくなってしまった。
得意なことすらできない私が、自分のためにお金をかけるなんて……と思っていたような気がします。

自分を表現し続けた「服」を手放すと決意した日

──今回の片づけでは、大好きな洋服も勇気を出して手放せたというお話がありました。そのあたりの背景を教えてもらえますか?

中学・高校に入った頃から色々な学生に触れる機会も増えて、自分の殻というか固定概念が少しずつ崩れ始めたんですよね。「ちゃんとした子」以外の自分を出せるようになったというか。

大学生になるとファッションにも目覚めて、髪の毛も赤く染めていました。国文学科だったこともあって、けっこう目立っていたと思います(笑)。

自分が母親になってからもあえて「ママっぽい服」を選ばないようにして、自分にしかできない表現にこだわった。「奈穂さんにしかできない恰好だよね」って言われるのが当時すごく嬉しかったんです。

──そんな洋服たちを、今回の片づけでは手放すことができたと?

手放さないと何も始まらないなって思ったんですよね。その時にお別れできたのは、ゴブラン織りの高価なスカートでした。

当時のアパレル業界は自分が働く店舗のものを着用することがルールで決まっていたので、商品の中で自分が一番気に入ったものを買ったんです。

ただ、その時は仕事が本当に大変で、時が経ってからもスカートを見るたびに嫌な出来事を思い出してしまうほどでした。
それなのに手放す時に勇気が必要だったんですよね。何度触っても、全然ときめくことがなかったのに。

──それは何か理由が?

何かやり残したこと、未練があったのかなぁ……。
でも最終的に手放すことができたのは「今の自分には合わない」ときっぱり思えたからですね。

モノとして少しくたびれていたのもあるけど、今の自分、これからの自分が身につける服ではないと思えたことが大きな理由でした。

私の本当に大切なものは「一日一日の暮らし」です

──こんまり®︎メソッドの片づけを終えてみて、どんなことを感じましたか?

色々なことがたくさん絡み合い、「自分が何を大切にして生きたいのか」を少し見失っていたのだと感じました。

例えば今回の片づけでは、思い出の品とゆっくりと向き合い、対話をする時間もあったんですね。そこには父と母との記憶が蘇るものもたくさんあって。

実は私が結婚する前に父は亡くなっていて、母が女手一つで育ててくれた時期がありました。その頃の出来事が私にはすごく悲しい体験で、無意識にその時の感情にふたをしていたんのだと思います。

でも母からの手紙を改めて読み返してみると、思っていたよりも元気そうだったのだと知ることができました。

中には私が教えてもらったドライカレーのレシピのメモ書きと、「平和に暮らしています」のメッセージが書かれた手紙があったりして。

私がただ憧れの眼差しで接していた頃とは違う、また別の母親の姿が浮かび上がってくるようでした。

──和室をDIYしたエピソードもありましたよね。今までは家のことはわりと奈穂さん中心だったのが、今回は家族との対話によって作り上げていました。

私にとっても大きな発見でした。私が「こうしたい」と表現した和室ではなく、家族と一緒に作り上げる中で、自然と和室の表現が「そうなっていた」という感覚があります。

そのあたりから、私の暮らしに対するものの見方が変わったんですよね。
それまでの私は家族に「片づけをやらされている」と無意識にどこかで思っていたのかな。でも実際はそんなことは全然なくて。今では家族が率先して片づけをしてくれるようになりました。

家のことは「私が」完璧にやらなきゃって思っていたのに、嘘みたいですよね。

──興味深いですね。一見すると奈穂さん自身は何も変わっていないのに、奈穂さんの周りが大きく変わったようにも見えます。

ほんとですよね。昔はこの和室もキッズスペースみたいにおもちゃで溢れていて、仲の良いママ友の集まりの場になっていたんです。「外山カフェ」って呼ばれたりして、みんなにお茶を振る舞うのが嬉しかったのを覚えています。

でもその時も「素敵なママ友」という自分を表現していたのかも。

──自分のアイデンティティでもあった服の片づけをしたシーンでも感じましたが、過去の自分の何かに決着をつけて、自分を取り戻したような感覚を覚えます。改めて今の外山さんにとって「本当に大切なもの」は何でしょうか?

胸を張って、一日一日の暮らしが私の大切なものです、と答えられます。

こんまり®︎メソッドの片づけをすれば人生が変わると思っていましたが、私の場合は目の前にある宝物に気づくことができたという感覚です。

──素晴らしいお話をありがとうございました。もしかすると外山さんは、無意識のうちに大切なものをすでに選び取っていたのかもしれませんね。それがモノとの対話を通してより明確になり、自分らしいものだけが残ったように感じました。

改めて本日は、貴重なお時間をありがとうございました。

取材・執筆・編集:株式会社ソレナ

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